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牧田 純 / 「愛」ドローイング集 (ROSE 36/BOOK)

1,527円

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「愛」ドローイング集(ROSE 36 / BOOK)
¥1,389 + tax

DETAIL 並製
判型:A5(210mm × 148mm)
全78ページ (カラー16ページ)
今どきの若者・牧田 純くんは、どうも今どきの若者になりきれずに困っていた。

「なんとか自分を表現するすべはないかしら???」

不穏なバイトの日々をのっぺりと過ごしながら、いつもそのようなことを感じていた。

そう、あなたやわたしのように。

しかし、そんなものは大昔に奪われてしまった人間の自由であって、渋谷の道ばたに転がっているわけはないのである。

彼はそのことに気付かなかった。

「なんとか自分を表現するすべはないかしら???」

きょろきょろと歩きながら、いつしか彼は絵を描きはじめる。
道ばたで見つけたもの(たいていがどうでもいいもの)を紙に写しはじめる。

彼の自由帳に、そんなものたちが溜まっていく。

それは表現というより、ただの記録であり、つまりは極個人的日記である。

物語りは普通、このへんで終わる。
しかし彼はそのことに気付かなかった。

「なんとか自分を表現するすべはないかしら???」

彼は続けてみた。のっぺりとした日々のなか、コピペされた無数の花びらの散る季節のなか、続けることをやってみた。
ふてくされながら、笑いながら、わめきちらしながら、愛しながら。
いつしか彼は、彼が続けるうちは続く物語りを手にしていた。
わたしは純くんと純くんの絵が大好きだ。もっと言うと純くんの部屋も純くんの彼女も大好きだ。自由を感じさせるから好きだ。
いちばん好きな画家なのである。

(曽我部恵一)